VOL.39 子どもの勉強のやる気を上げる方法 ②
#教育に科学的根拠を#
こんにちはタバコです。
前回、子どもの”やる気スイッチ”を押す方法として
”ご褒美をあげる”ということを紹介しました。
詳しくはこちら↓
今回は、もう少し詳しくその理由にについて書きたいと思います。
中室さんの研究が新しいのは
教育に科学的エビデンスを取り入れることの必要性
を主張している点です。
「科学や経済、医療などあらゆる分野で科学的根拠が
求められているのに、教育だけは、
個人の経験や体験から語られることが多く
科学的根拠を必要とされてこなかったし、
そのおかしさをこれまで誰も指摘してこなかった」
また、
「教育は例外的な出来事ほど衆目を集める傾向があり
『わが子を東大に入れた母親の話』などが注目を集めるが
個人の体験は全体を表すものではなく、真似をしても
東大に入れさせられるわけではない。」
⇒だからこそ、
「例外的な成功体験よりも
個人の体験を沢山集めて、全体に応用できる傾向を見出し
(科学的エビデンスを明らかにする)
それを活用することで教育の質を高めていくことできる」
これが中室さんが科学的エビデンスを研究している理由で
講演の冒頭に聞いた話です。
”言われてみれば確かに・・・”という感じで、
ここからどんどん話に引き込まれていきました。
#教育経済学とは#
明らかにするものであり、それを応用して、
子どもが勉強するための”インセンティブ”を解明し、利用して
子どもが勉強するようになる仕組み(やる気スイッチ)を作る
のが教育経済学だそうです。
経済学は、医療の分析と同じ手法(実験や臨床)を取っている
そうで、それを教育の分野にも取り入れようということです。
例えば、
”子どもに「勉強しなさい!」と言うのは効果的か?”など
これまで感覚的に”いいんじゃない?”と思っていたことを
実験やデータから”本当はどうなの?”と
明らかにするという試みになります。
#子どもへのご褒美で正しいのは?#
みなさんは、勉強 と ゲーム という2つの選択肢が
あった場合、どちらを選びますか?
多くの人がゲームを選ぶと思います。
「勉強は将来の役に立つから大切だよ」と言われても
ゲームという目先の楽しさには勝てないでしょう。
これを経済学では”双曲割引”と言うそうで、
”目の前の利益が将来の利益よりも魅力的に見える”
”遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない”
のような非合理的行動を説明する概念です。
この概念から考えると
”やる気スイッチ”を押すためには、
目の前の利益を魅力的にする必要があるので
今勉強するための利益をはその後ですぐ出してあげる。
⇒勉強したらご褒美をあげる となります。
”100点取ったら〇〇買ってあげる”
というご褒美の良くない点は
1,目の前の利益にならないこと⇒モチベーションが続かない
2,点数を取るための学習の方法、努力をする方法がわからない。
⇒勉強することを伝える方が良い
ということ、これらが実験で明らかになっているそうです。
さらに実験では、
”お金は良いご褒美か?”も検証されました。
結果は、
〇小学生:トロフィーや賞状に反応
⇒本人たちの名誉を高めるようなご褒美が良い
〇中高生:お金に反応
⇒金融教育をセットにすると子どもの貯蓄率が上昇する
という結果で、年代によってご褒美を変えることで
効果が上がると言うことがわかったそうです。
#中室さんの講演を聞いて#
中室さんのお話はどれも、実験やデータ解析に基づく
科学的エビデンスが明らかな内容なので
説得力があるように思いました。
今回ご紹介した内容以外にも
たくさんのお話を聞きましたが、
ここでは全てをご紹介することはできないので
興味のある方は、ぜひ本をお読み下さい。
自分も読みましたが、とても分かりやすく
刺激的な内容でした。おススメです。
講演の後半で
非認知能力の大切さ に触れ
1幼児教育と2教員(教育)の質の重要性にについて
話されていましたが、
『幼児教育の無償化では教育の質を高めることはできない。』
という言葉に、無償化についてそのような視点で
捉えたことのなかった自分には驚きでしたし
視野が狭いなあと反省しました。
色んな方の話を聞くのは面白いですね。